この記事では、中小企業における経営計画・事業計画(以下『事業計画』)策定の重要性について解説します。
目次
1.はじめに
2.中小企業における事業計画の策定状況
3.用途別の事業計画の考え方
①金融機関から融資を受ける場合
②投資家から出資を受ける場合
③補助金を申請する場合
4.事業計画策定による国・自治体からの支援
1.はじめに
そもそも、事業計画は何のために必要なのでしょうか?
・計画を作っても計画通りにはいかないから効果がない
・計画は作ってないが、従業員には口頭で説明することにより、理解が得られている
・計画はあった方が良いと思うが、作成のノウハウや時間がない
こんなお考えの経営者の方も多いのではないかと思います。
『事業計画は何のために必要なのか?』という問いに対する答えは、『事業の成功確率を高めるため』です。
経営者の頭の中にある事業計画を明文化し、従業員や金融機関、投資家等の事業を取り巻く関係者と進むべき方向性の意思共有を図ることにより、協力を得ることができます。
また、事業計画を策定し、事業内容を具体化することにより、事前に起こりうるリスクへの対応が可能です。
2.中小企業における事業計画の策定状況
上場企業においては、中期経営計画(3年程度の事業計画)を策定していることが一般的ですが、中小企業の事業計画の策定状況は以下の通り、6割弱に留まります。
出所:令和元年度中小企業支援機関の在り方に関する調査に係る委託事業報告書
3.用途別の事業計画書の考え方
事業計画書は、事業が同じであれば基本的に同一の内容になりますが、用途によって計画書のなかで「強調するポイント」を工夫することが重要です。
①金融機関から融資を受ける場合
金融機関から融資を受ける場合、事業計画書の内容を実行して、利息を含め、きちんと貸したお金が返済できることがポイントになります。
具体的には、事業計画書の損益計画や資金計画が希望的観測ではなく、実現性の高い数字になっていることです。そのために、売上や費用に対する根拠をしっかりと積み上げることが大切です。
また、金融機関では、窓口の担当者だけでなく、組織として審査を行いますので、他の審査をする人が見たときに、事業計画書の書かれている内容に説得力があるか、という視点も意識しましょう。
②投資家から出資を受ける場合
成長性が高く、将来、上場を目指すような事業の場合、ベンチャーキャピタルや個人投資家等から出資を受けることも選択肢の一つです。
この際、ベンチャーキャピタル等は、優れたビジネスモデルを持っているか、高い収益力で将来のリターンは大きくなるか、という視点で事業内容を見ています。
事業計画書の作成にあたっても、事業の成長性やその根拠の確からしさを意識しましょう。
補助金を申請する場合
開業資金に補助金や助成金を活用する場合にも、事業計画書の提出が求められます。
補助金の採択には、自治体や実施機関によって、それぞれ制度の要件がありますので、それらの要件にそって計画書を作成する必要があります。
実施される補助金制度の主旨を踏まえ、なぜその事業に取り組むか、将来どのような効果が得られるか、といった視点でストーリー性をもって記載することがポイントです。
事業計画書は、同じ内容であっても、誰に伝えるのかを意識して計画を記載することで、協力を得られる可能性も高くなるといえるでしょう。
4.事業計画策定による国・自治体からの支援
中小企業庁が定める『経営力向上計画』や『経営革新計画』を策定し、承認されることにより、税制優遇などの様々な支援策が受けられます。
また、補助金の申請においても事業計画書の提出が必要です。
事業計画書の作成方法等は改めて解説します。