こんにちは、KIRAMEKI consultingです!
前回の記事では、『事業計画策定の重要性』について解説しました。今回は、中小企業経営強化法という法律に基づく中小企業向けの支援策である『経営力向上計画』について解説します!
この記事はこんな人におすすめ!
・設備投資を検討中の方
・節税策を検討中の方
・その他の補助金申請を検討中の方
1.はじめに
2.対象となる事業者
3.主な支援措置(認定を受けることによる特典)
①税制優遇
②金融支援
4.申請における注意点
1.はじめに
経営力向上計画とは、自社の生産性を高めることを目的として作成する事業計画です。
国に申請し、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
作成する事業計画書は5枚程度と比較的簡易ですので、取り組みやすい制度です。
また、小規模事業者持続化補助金などの補助金の加点にも繋がります。
2.対象となる事業者
対象となる事業者は、以下の通り定義されている「特定事業者等」です。
【特定事業者等】
種類 | ・会社または個人事業主 ・医業、歯科医業を主たる事業とする法人 ・社会福祉法人 ・特定非営利活動法人 |
従業員 | 2000人以下 |
※認定を受けることによる支援措置については、別途基準が設けられています。
3.支援措置(認定を受けることによる特典)
経営力向上計画の認定を受けることによる2つの主な支援措置について解説します。
① 税制優遇
経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、新たに取得した設備を『即時償却』、または『10%(*)の税額控除』のどちらかを選択適用(中小企業経営強化税制)できます。
*資本金が3,000万円超1億円以下の法人は7%
中小企業経営強化税制を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 青色申告を行っている中小企業者等であること
- 指定事業のための設備投資であること
- 経営力向上計画の認定を受けること
- 計画に沿って設備を新規導入すること
即時償却
中小企業経営強化税制で選択できる「即時償却」とは、一定の設備投資を行った際に、費用の全額を一度に経費として計上できる仕組みです。通常は、設備投資を行った場合、法令で定められた耐用年数に応じて、毎年少しずつ経費に計上する「減価償却」が原則です。
即時償却は事業初年度に設備投資の費用全額を経費として計上できるため、以下のメリットがあります。
- 単年度の税負担を抑えられ、手元資金を多く残せる
- キャッシュフローがよくなり、余裕資金を設備投資に回せる
税額控除
即時償却でなく税額控除を選んだ場合は、通常の減価償却に加え、初年度に税額控除を受けられ、トータルの納税額は即時償却を選ぶ場合より低く抑えられます。
例えば、2000万の設備を導入した場合には、200万(2000万の10%)法人税の負担が軽減されます。
なお、税額控除を適用した場合でも、通常通り減価償却することが可能です。翌期以降の赤字が確定しているようなケースを除いては、税額控除を選択するのがお得です。
② 金融支援
ここでは、日本政策金融公庫による融資と中小企業信用保険法の特例について解説します。
日本政策金融公庫による融資
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について特別利率での融資が受けられます。
※日本政策金融公庫による審査の結果、融資を受けられない場合があります。
○貸付金利
<中小企業事業>
基準利率(ただし、設備資金(土地及び建物に係る資金を除く)については、2億7,000万円を限度として特別利率②)
<国民生活事業>
基準利率(ただし、設備資金(土地及び建物に係る資金を除く)については、特別利率B)
※基準利率及び特別利率については、日本政策金融公庫のサイトをご参照ください。
中小企業信用保険法の特例
経営力向上計画の実行※にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠で追加保証や保証枠の拡大を受けられます。
※新事業活動に該当する事業及びM&A等による事業承継(デューデリジェンスを含む)に限ります。
○保証限度額の別枠・保証枠の拡大
通常枠 | 別枠 | |
普通保険 | 2億円(組合4億円) | 2億円(組合4億円) |
無担保保険 | 8,000万円 | 8,000万円 |
特別小口保険 | 2,000万円 | 2,000万円 |
新事業開拓保険 海外投資関係保険 | 2億円→3億円 (保証枠の拡大) | 2億円→3億円 (保証枠の拡大) |
4.申請における注意点
『経営力向上計画の申請及び設備投資のタイミング』と『購入予定の設備が税制優遇の対象か』に注意が必要です。
- 申請から認定まではおおよそ30日程度必要です。
※電子申請により14日程度に短縮することが可能ですが、税制優遇を受けたい場合は、決算月の3ヶ月程度前に余裕を持って申請するのがオススメです。
- 設備投資の税制優遇は経営力向上計画の認定を受けた後に購入した場合に適用されます。
経営力向上計画の申請前に、購入予定の設備が税制優遇の対象になるかを確認し、経営力向上計画の認定後に購入するよう注意しましょう。